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カスタマーハラスメント対策等の義務化について

2025年07月03日

 労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する 法律等の一部を改正する法律が、2025年6月11日公布されました。
 今回の法改正による主な改正点は次のとおりです。①カスタマーハラスメント対策の義務化、②求職者等に対するセクシャルハラスメント対策の義務化、③情報公表義務の対象拡大。以下では、現在分かっている範囲で、改正の内容について説明いたします。

①カスタマーハラスメント対策の義務化(施行日:公布後1年6か月以内の政令で定める日)
 改正法では、「カスタマーハラスメント」を次の3つの要件を全て満たすものと定義しています。
  1. 顧客、取引先、施設の利用者その他の当該事業主の行う事業に関係を有する者が行う言動であること
  2. 雇用する労働者が従事する業務の性質その他の事情に照らして社会通念上許容される範囲を超えた言動であること
  3. 当該言動が、当該労働者の就業環境を害すること
 そして、カスタマーハラスメント対策として事業主が講ずべき具体的な措置の内容等は、今後、指針において示される予定となっていますので、指針が示され詳細が分かり次第、改めてお伝えする予定です。厚労省のパンフレットによれば、セクハラやパワハラに関する講ずべき措置(・事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発、相談体制の整備・周知、発生後の迅速かつ適切な対応・抑止のための措置)と同様の措置を予定しているようです。
 また、事業主には、労働者がカスタマーハラスメントについて相談を行ったこと、又は事業主によるカスタマーハラスメントについての相談への対応に協力した際に事実を述べたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取り扱いをしてはならないものとされています。
②求職者等に対するセクシャルハラスメント対策の義務化(施行日:公布後1年6か月以内の政令で定める日)
 求職者等(就職活動中の学生やインターンシップ生等)に対する、事業主が雇用する労働者によるセクシュアルハラスメント(いわゆる「就活セクハラ」)を防止するための必要な措置を講じることが事業主の義務となります。
就活セクハラ対策として事業主が講ずべき具体的な措置の内容等は、今後、指針において示される予定となっていますので、指針が示され詳細が分かり次第、改めてお伝えする予定です。厚労省のパンフレットによれば、次のような措置が予定されているようです。
  1. 事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発(例:面談等を行う際のルールをあらかじめ定めておくこと等)
  2. 相談体制の整備・周知
  3. 発生後の迅速かつ適切な対応(例:相談への対応、被害が確認できた場合の被害者への謝罪等)
③情報公表義務の対象拡大(施行日:2026年4月1日)
 これまで従業員数301人以上の企業に公表が義務付けられていた男女間賃金差異について、101人以上の企業に公表義務を拡大するとともに、新たに女性管理職比率についても101人以上の企業に公表が義務付けられます。

 改正前と改正後を比較した表は下記のとおりです(出典:厚労省パンフレット)。
企業等規模 改正前 改正後(改正箇所赤文字)
301人以上 男女間賃金差異に加えて、2項目以上(※)を公表 男女間賃金差異及び女性管理職比率に加えて、2項目以上(※)を公表
101人から
300人
1項目以上(※)を公表 男女間賃金差異及び<女性管理職比率に加えて、1項目以上(※)を公表
※301人以上の企業では①「職業生活に関する機会の提供に関する実績」から1項目以上、②「職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備の実績」から1項目以上の計2項目を公表すること、101人以上の企業は上記①と②の全体から1項目以上公表することとされています。