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労働基準法の見直しについて
2026年02月04日
労働基準法は、法定労働時間が週48時間制から週40時間制となった1987(昭和62)年の大改正以降、部分的な改正は行われてきましたが、大規模な改正は行われませんでした。しかし、前回の大改正から約40年経過して、法令の内容が時代にそぐわない部分も出てきていたことから、大改正に向けた議論が進められてきました。
当初の予定では2026年の通常国会に改正法案が提出される予定となっていましたが、法案の提出が見送られたため、改正時期は不透明とはなっていますが、白紙となったわけではないので、今後いずれかのタイミングで改正されることは間違いありません。そこで、どのような方向での法改正が検討されているのか、「労働基準関係法制研究会報告書」を基に、いくつかポイントを絞って解説いたします。なお、紙幅の関係で、今回解説できないものについては、別の機会に解説していく予定です。
・勤務間インターバル
勤務間インターバル制度は、労働時間等設定改善法第2条において「健康及び福祉を確保するために必要な終業から始業までの時間の設定」として努力義務が課されているにとどまっています。ただし、運送業については、改善基準告示において、一定の休息期間を設けることが義務付けられています。
・改正の方向性
労働基準関係法制研究会報告書」の中では、勤務間インターバル時間は11時間を原則としつつ、制度の適用除外とする職種等の設定や、確保できなかった場合の代替措置等について組み合わせて制度設計していくことが検討されています。
法38条の通達に基づき、事業主を異にする場合についても、労働時間が通算され、通算した労働時間に基づき割増賃金の支払いの要否が判断されます。
・改正の方向性
事業主を異にする場合の労働時間を通算しないことが検討されています。
週の法定労働時間は原則40時間と定められています。しかし、一定の業種(商業、映画・演劇業、保健衛生業、接客娯楽業)であって、常時使用する従業員が10名未満の事業場の場合には、経過措置として44時間とする特例が適用されます(法施行規則25条の2第1項)。多くの企業には関係ありませんが、多店舗展開する飲食業では、この特例があったことで、未払賃金を請求されたときに減額できることが多々あったことや、1か月単位の変形労働時間制を導入する際も、上限時間が月に20時間程度伸びるため、適用が出来れば使用者側にはメリットがある制度でした。
・改正の方向性
特例の対象となる企業でも、87.2%の企業が特例を使っていないことから、経過措置としての役割を概ね終えたとして、廃止する方向で検討されています。
法定休日は、原則1週1休制(法35条第1項)ですが、4週4休制(同条2項)とすることも認められています。4週4休制を適用した場合には、24連勤(次の期間の休日の付与時期を調整することで最大48連勤)が可能です(ただし、週40時間を超えて労働した部分の時間外割増の支払いは必要となります。)
また、所定休日が複数ある場合、その内どの休日を法定休日とするか特定することを義務付けられていませんでした。そのため、法定休日を特定しない場合には、週内に1日でも休日を取得させていれば法定休日労働は発生しませんでした。
・改正の方向性
4週4休制は、上記のような長期間の連勤を可能とし、精神疾患による労災の温床となっていることから、2週2休とするなど、連続勤務の最大日数をなるべく減らす方向で検討されています。
また、所定休日が複数ある場合、その内どの休日を法定休日とするか特定することを義務化する方向で検討されています。



フレックスタイム制は、適用対象期間(1か月や3か月など)を定める必要があるため、テレワークと出社勤務を組み合わせて行う場合に、テレワークの日だけにフレックスタイム制を適用することが出来ませんでした。
・改正の方向性
テレワークの日だけなど、特定の日だけにフレックスタイム制を導入することができるような改正を行う方向で検討されています。