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月60時間超の時間外割増賃金

2023年04月05日

◆月60時間超の時間外割増賃金
 2022年7月号の本ニュースでもお伝えしていましたが、いよいよ2023年4月1日から、中小企業でも月60時間超の時間外労働に対する割増賃金の割増率が25%から50%に引き上げられました。
2010(平成22)年4月1日施行の改正労働基準法により、大企業では、月60時間超の時間外労働に対する割増賃金の割増率が25%から50%に引き上げられています。  中小企業に対しては、労働基準法附則第138条により、当分の間割増率の引き上げの適用が猶予されていました。
 しかし、この猶予措置が2023年3月31日で終了となることが決まり、2023年4月1日以降は、中小企業でも月60時間超の時間外労働に対する割増賃金の割増率が25%から50%に引き上げられています。
 特に、月60時間を超える時間外労働が発生する企業では、次に掲げる事項への対応が済んでいるか、改めてご確認ください。

割増率引き上げに伴い対応が必要となる事項
・就業規則の割増賃金の規定の改定
・給与計算のフォーマットへの反映

 なお、月45時間を超える時間外労働を労働者に命じるためには、通常の時間外労働・休日労働に関する協定(いわゆる36(サブロク)協定)ではなく、特別条項付きの36協定を過半数組合又は過半数代表者と締結し、労働基準監督署に届出する必要があるので、ご注意ください。

◆労災による休業の報告
 従業員が労災により4日以上休業した場合、事業主は労働者死傷病報告書を遅滞なく所轄労働基準監督署に提出しなければならない(労働安全衛生規則第97条第1項)ことは、ご存知の企業も多いと思います。
 では、労災による休業が3日以下の場合はどうでしょうか。実は、この場合も労働者死傷病報告書を所轄労働基準監督署に提出しなければならないとされています。ただし、4日以上の場合と異なり、随時に提出するのではなく、次に掲げる期間で区切ってまとめて報告することとされています(労働安全衛生規則第97条第2項)。

1月から3月までに発生した休業は4月末まで
4月から6月までに発生した休業は7月末まで
7月から9月までに発生した休業は10月末まで
10月から12月までに発生した休業は翌年1月末まで

 そして、この報告書を提出しないことは、労働安全衛生法第100条第1項の報告義務への違反にあたり、50万円以下の罰金の対象となります(同法第120条第5号)。
労働基準監督署では、この労働者死傷病報告書を適切に提出しないことを「労災隠し」と呼んで、厳しく取り締まっています。
 最近でも、労働者が作業中に熱中症を発症し、病院へ救急搬送され、結果として3日間休業することになった事案で、事業主が労働者死傷病報告書を提出しなかったために送検されました。
 送検されると労働基準監督署の公表基準にしたがって、労働局のホームページなどで企業名や事案の概要が公表されます。このようなことで公表されると、企業イメージの低下を招き、ブラック企業などとレッテル貼りをされかねませんので、注意しましょう。

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