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労働条件明示等に関するルールの変更

2023年07月05日

 労働基準法施行規則等が2023年3月30日に改正されたことに伴い、2024年4月1日以降、労働条件明示等に関するルールが変更され、明示すべき事項が増えます。

◆全ての労働者に共通する事項
 就業の場所及び従事すべき業務に関する「変更の範囲」を、雇用契約(無期・有期を問いません)の締結時(雇い入れ時)有期雇用の更新時に明示することが求められます。
 この「変更の範囲」とは、将来の配置転換などによって変わりうる就業の場所や従事すべき業務の範囲を指すと解されています。
 そのため、これまでであれば雇い入れ時又は更新時における就業場所や業務を労働条件通知書に記載すれば問題ありませんでしたが、今後は将来の配置転換の可能性を含めて記載することが必要となります。
 例えば、全国転勤がありうる企業であれば、労働条件通知書における就業場所の記載は次のように行うこととなります。

・現在
就業場所 ○○営業所
ya
・2024年4月1日以降
就業場所 (雇い入れ時)
○○営業所
(変更の範囲)
本社及び各営業所
 また、業務内容についても、総合職であらゆる業務に転換する可能性があるのであれば、労働条件通知書における業務内容の記載は次のように行うこととなります。

・現在
業務内容 営業部における業務
ya
・2024年4月1日以降
業務内容 (雇い入れ時)
営業部における業務
(変更の範囲)
営業部以外の全部署における業務

◆有期雇用労働者に対する明示事項等
(1)更新上限の明示
 2024年4月1日以降、更新上限(有期雇用契約の通算期間の上限または更新回数の上限)の有無と更新上限を設ける場合にはその内容を、有期雇用契約の締結時(雇い入れ時)各更新時に明示すること必要となります。

・記載例①(更新回数の上限)
更新上限 無し・有り(更新回数●回まで)
・記載例②(通算契約期間の上限)
更新上限 無し・有り(通算契約期間●年まで)

(2)更新上限の新設・短縮時の説明義務
 2024年4月1日以降、①雇い入れ時よりも後に更新上限を新たに設ける場合、または②雇い入れ時に設けていた更新上限を短縮する場合のいずれかに該当する場合には、更新上限の新設または短縮を行う前に、更新上限の新設または短縮を行う理由を有期雇用労働者に説明することが必要となります。
 説明の方法については特に制限が無いので口頭でも構いませんが、説明を行った証拠を残しておく意味では、書面を交付して口頭で補足説明を行うという方法が望ましいと考えます。

(3)無期転換申込機会と無期転換後の労働条件の明示
 2024年4月1日以降、労働契約法第18条第1項に基づく無期転換申込権が発生する更新のタイミング(原則として、有期雇用契約の通算期間が5年を超えた更新のタイミング)ごとに、無期転換を申し込むことが出来る旨と、無期転換後の労働条件を明示することが必要となります。

・記載例
 本契約期間中に会社に対して無期雇用契約への転換の申し込みをしたときは、本契約期間の末日の翌日(●年●月●日)から、無期雇用契約に転換することができる。この場合の本契約からの労働条件の変更の有無(無し・有【別紙のとおり】)