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公益通報者保護法の改正

2022年05月09日

 改正公益通報者保護法が2022年6月1日より施行されます。
 公益通報者保護法は、2006年4月に施行されましたが、2019年度まで8年連続で倒産した会社にコンプライアンス違反が判明した件数が200件を超えるなど、依然として近年も社会問題化する事業者の不祥事が後を絶たず、公益通報が十分に機能しているとは言えない状況でした。そこで、より実効性を高めるために、2020年6月8日に公益通報者保護法の改正が行われ、今年の6月からいよいよ施行されます。
今回の改正のポイントは、大きく以下の3点です。
 ①通報者の保護の強化
 ②安心して通報を行いやすくする実効的な内部通報体制の整備と実効性確保措置
 ③外部への通報を行いやすくするための要件緩和

  1. 通報者の保護の強化
    通報者の保護を強化するための主な改正点は以下のとおりです。

    fig01

     ※横スライド表示出来ます。
  2. 安心して通報を行いやすくする実効的な内部通報体制の整備と実効性確保措置
    (1) 内部通報体制の整備
     事業者(従業員300名以下の事業主は努力義務)に対し、内部通報に適切に対応するための必要な体制の整備として、㋐内部公益通報受付窓口の設置、㋑通報があった場合の必要な調査の実施、法令違反があった場合に是正に必要な措置の実施、㋒通報窓口の独立性の確保措置などが求められています。

    (2) 実効性確保措置
    ア 通報受付窓口の責任者の指定及び守秘義務
      事業者(従業員300名以下の事業者は努力義務)は、通報受付窓口として、内部通報を受け、調査を行い、是正に必要な措置をとる業務に従事する者(公益通報対応業務従事者)を、書面など公益通報対応業務従事者となる者に明らかとなる方法で指定しなければならないとされています。
      そして、公益通報対応業務従事者に指定された者には守秘義務が課されて、通報者を特定する情報を正当な理由なく漏洩することが禁止されています。これに違反した場合、30万円以下の罰金が科されます。

    イ 実効性確保のための行政措置
      上記⑴の内部通報体制の整備、及び上記⑵アの通報受付窓口の責任者の指定を行わない場合などには、内閣総理大臣は、報告の徴求、又は助言、指導もしくは勧告を行うことが出来ます。また、違反している事業者が勧告に従わなかった場合、その旨を公表できることとなっています。
      公表の対象となるのは、内部通報体制の整備等の義務を負う事業者(従業員数が300名超の事業者)に限られますが、報告の徴求、又は助言、指導もしくは勧告は、内部通報体制の整備等が努力義務にとどまる事業者(従業員300名以下の事業者)もその対象となるので、注意が必要です。
  3. 外部への通報を行いやすくするための要件緩和
    外部通報の要件緩和に関する主な改正点は以下のとおりです。

    fig01

     ※横スライド表示出来ます。
    ※ 特定事由は、生命身体に対する危害が発生し、または発生する急迫した危険があると信じ るに足りる相当の理由がある場合など