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参考資料:残業代問題

1.時間外労働の割増賃金については、平成20年12月12日に公布された改正労働基準法ではどのようになりましたか。

現在は、時間外労働の割増率は、25%以上ですが、改正法(平成22年4月1日施行)では、1ヶ月に60時間を超えて時間外労働をさせた場合は、その超えた時間の労働についての割増率は50%以上とされました。ただし中小事業主については、当分適用しないこととしました。

2.時間外・休日・深夜労働の割増賃金について教えてください。

時間外の割増賃金率および深夜労働の割増賃金率は、25%以上、休日労働(法定休日)の割増賃金率は35%以上となっています。

3.年俸制を採用しているので割増賃金を支払わないでよいといえますか。

年俸制を採用しているから割増賃金を支払わなくてもよいとはいえません。ただし、賃金が割増賃金の部分と通常の労働時間に対応する部分に分かれており、割増賃金部分が法定の割増賃金額以上支払われていれば、割増賃金を支払う必要はありません。

4. 管理監督者には時間外および休日労働の割増賃金を支払わなくともよいとのことですが、平成20年のいわゆる日本マクドナルド店長事件の東京地裁判決は店長をなぜ管理監督者と認めなかったのですか。

①店長は、正社員の採用権限がない、本社の決定した営業時間の設定に従わなければならない。②勤務スケジュールを自分で決められるといっても休日すらほとんど取れない実態であった。③中位・下位の店長の待遇が、ファーストアシスタントマネジャーの年収を44万円程度上回るか、それ以下である。以上から、店長は管理監督者にあたらないとしました。

5.裁判所の管理監督者の判断は厳しいといわれますが、使用者としてはどのように対応すればいいのでしょうか。

① 明らかに、管理監督者と裁判で認められないような従業員については、管理職手当ではなく、適正に時間外手当を支払うべきです。時間外賃金の支払いを抑制するために、残業規制や、場合によっては労働者の同意を得て基礎賃金を下げるなどの対応も検討課題です。

② 管理監督者にあたるか微妙な場合には、労働者の労働時間や賃金面や昇進について不満が生じないように配慮をしてしばらく様子をみるのも一つの選択肢です。

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奈良弁護士
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弁護士 奈良恒則